近所のおじいちゃんと

同じバス停を使っているおじいちゃん。

66歳のドイツ人。
貿易の仕事のために訪れたオーストラリアの暖かい気候が気に入って住み着いたらしい。

しかし、キャラバンと呼ばれるトレーラーハウスに住んでいるため、狭くて居心地が悪いらしく、
毎日もう仕事のようにジュピターズホテルのカジノに出かけている様子。


ジュピターズカジノは、”ギャンブル場”というイメージよりも、
”おじいちゃんおばあちゃんの溜まり場”、という雰囲気がずいぶん強く、
さながら巣鴨のよう。

誰でも無料で作れるカジノのメンバーカードがあれば、一日に2杯までフリードリンクが飲めます。
さらに、ホテル内のレストランでは、メンバーカードを見せると安くなるメニューがあったりしてお得です。

雰囲気もなんとなくまったりしていて、必ずしもお金をかけて遊ばなくてもちょっと立ち寄ってくつろぐという
カフェ的使い方もあるのかも、と思いましたなんて言うと営業妨害ですか。




ともかく。



「カジノに寄ってくれればコーヒーをごちそうするよ」
とのことだったので学校帰りに寄ってみたら、何やらルーレットマシンに座って真面目な顔でメモを取っている。

何を書いているのか聞くと、
「出た数字をメモして統計をとっている」
とのこと。
何か意味があるのかなぁ?
と疑って見ていると、


「次は5、絶対5に止まる」



と予言するではありませんか。



ありえねぇ、、、と思っていると

おっ、なんと!?





ぴったり5に止まったーーーー!!!!!






すげえええええ

統計ってすげえええ!

以前テレビの番組で、
マサチューセッツ工科大学の天才学生集団がラスベガスのカジノで、統計学とか数学とかを使って勝ちまくった、
という夢のような話を見たことを思い出し、それが目前で実証されたことに超感動!


していたのですが、
そこでおじいちゃんがひとこと。




「俺はサイキックだ」






ああ、そっち?









とにかく、それからその勝ったお金でコーヒーのみならずステーキセットまでご馳走してくれたのでした。




それから数ヶ月。
おじいちゃんにはそうやって何度もおごってもらいました。
寒い財布には大助かりで、しかも私の英語のことや将来のことまで気にかけてくれます。
おじいちゃんも英語を学ぶのに苦労したらしいので、ツラさを身にしみてわかっているようでした。






オーストラリアでできた現地のお友達、やさしいおじいちゃんの思い出でした。